本当の気持ち・・・・

久し振りに

YouTube張り付けているので
音量に気を付けてください。

選曲が古くて、ごめんなさい。


☆☆☆


辺りも暗くなり、花火が上がり始めた。

二人は、夜空を見上げ


「キレイ・・・・」

「うん、キレイだね・・・
なんかこの時期に花火が見られるなんて
不思議な感じだな・・・」

「ここじゃ、毎日上がってるんだよ」

「そうなんだ、ボクは
そんなことも知らなかったよ・・・あははは」


ヒカルは、寂しそうに笑った。


「ひーちゃん・・・・」


楓は、そんなヒカルの顔を見て
急にヒカルが遠くに感じ
涙が出そうになった。






楓は、花火が終わらないうちに

「帰ろう」

「え?」

「だって、ひーちゃん、明日仕事でしょ?」

「そうだけど・・・いいの?」

「うん、行こう」

楓は、涙がこぼれそうになるのを
必死に堪え、ヒカルにわからないように
先に歩いて行った。


「楓ちゃん」


慌ててヒカルは、後を追った。


車に戻り、楓は助手席で
ずっと下を向いている。


「楓ちゃん?大丈夫?」


楓は黙って頷く。


「じゃぁ帰るよ」


ヒカルは黙って、車を発進させた。






ヒカルは、ラジオを付けた。

スピーカーから、DJの声が流れて来た。

~~~~


・・・・のリクエストは
ラジオネーム「一人でも大丈夫」さんからです。


(ミミ(DJ)さん、こんばんわ~)


こんばんわ。

(私は、この春、無事に学校を卒業し
4月からは社会人です。)


おめでとうございます~


(今から、どんな新しい出会いが
あるか、ドキドキです)

そうですよね~やっぱり春は
出会いの季節!楽しみですね~


(でも、出会いの前に
春は別れの季節でもあります。
私は、この春卒業と同時に
学生時代ずっと一緒にいた人に
別れを告げました。)


あらま


(物理的な理由もあるのですが
そろそろ彼を
私から解放してあげようと思い
この機会に、もう私は大丈夫
大丈夫だから
自分の道へ進んでくださいと・・・)


なるほど


(二人とも泣いちゃいましたが
最後には笑顔で握手して
さよならしました。)


そっか・・・つらいけど
笑ってサヨナラ言えたって
素敵だね・・・

必ずしもお互い好きだから
いつまでも一緒にいられるとは
限らない・・・

そんな切ないお話でした。


じゃぁそんな二人に私から

「三日月」


贈ります。



♪♬


二人は、黙って聴いていた。



曲が終わり
次のリクエストが読まれ始めると
楓は、ラジオのスイッチを切った。

ヒカルは、チラッと楓の方を見るも
すぐ前に目を向ける。


「ふふふ・・・・何か私の事みたい・・・」


楓は、寂しそうにつぶやいた。

ヒカルは、何も言わなかった。


しばらくして、楓が話し始めた。


「ひーちゃん・・・」

「うん?」

「今、こんな事言ったら
ひーちゃん、困っちゃうだろうけど」

「・・・」

「この間は、大丈夫って
私言ったけど・・・・あれ、嘘」

「・・・」

「本当は、大丈夫なんかじゃない
皆の手前、ああでも言わないと
皆、心配するから・・・でも、やっぱり無理・・・」

「・・・・」

「無理、無理だけど・・・・
私の他にも、ひーちゃんの事を
必要としてくれる人がいるんだよね・・・・

私、一人のひーちゃんにしてちゃ
いけないんだよね・・・

だから、私、がんばって
お兄ちゃん離れじゃないけど
ひーちゃん離れしてみる・・・・
しばらく辛いかもしれないけど
頑張ってみる・・・・」

「・・・・楓ちゃん・・・」


ヒカルは、そう言うのが精一杯だった。


「でも・・・・くじけそうになったら
声を聴かせて・・・
一言でいい、一言でいいから・・・・」

「・・・うん」


ヒカルは
そう言うのが精一杯だった。


「ありがとう・・・・」


その後、二人は一言も言葉を交わさず
帰りの高速を、走り続けた。







1時間後、小島家に到着。


玄関の前まで、楓を送り届け


「じゃぁ楓ちゃん、また」

「うん、またね・・・」



玄関が開き、薫が出て来た。


「あっお帰り」

「ただいま」


楓は、さっさと中に入ってしまう。


「楓?・・・あっ、ヒカル君
今日はありがとね・・・あの子どうかしたの?」

「あぁちょっと最後に、しんみりしちゃって・・・
薫さん、楓ちゃん
やっぱりちょっと無理してるみたいで・・・・」

「そうか・・・わかったわ、まかせて
ヒカル君も仕事がんばってね
あんまり無理しちゃだめよ」

「はい、ありがとうございます
薫さんも体に気を付けて
正太郎さんにも、よろしくお伝えください」

ヒカルは、頭をさげ
挨拶をした。

「うん、じゃぁお休み」

「お休みなさい」


ヒカルは、車に戻り、静かに走り出した。

そんなヒカルを見送り、薫は


「やっぱり、急には無理だったかな・・・」


そうつぶやき、家の中に入って行った。







それから数日、楓は
一心不乱にヴァイオリンの練習をした。

そんな楓を見ていた薫は


「楓・・・そんな弾き方してたら・・」


バチッビィ~~~ン


「痛っ」


楓のヴァイオリンの弦が切れたのである。


「ほら・・・やっぱり切れた・・・」


切れた弦が当たり
楓の頬が少し赤くなっていた。


「ちょっと見せて・・・大丈夫ね
・・・そんな弾き方じゃ
いくら練習したって、上手にはなれないわよ
少し休んだら・・・」

「・・・・だって、練習してないと不安で・・・」

「学校始まったら
いやでも、毎日やらなきゃいけなくなるんだから
今は、ちょっと休んでも平気よ
じゃないと、体壊すわよ」


薫は、楓のヴァイオリンを取り上げた。


「・・・・・」


楓は、何も言わず、自分の部屋に
引っ込んでしまった。


「はぁ~・・・・・ヒカル君・・・
こんな場合は
どうすればいいんだろうね・・・」


薫は楓の部屋のドアを見ながら、呟いた。

そこへ、正太郎が帰ってくる。

薫の持っているヴァイオリンを見て


「ただいま、ん?どうしたの?
そのヴァイオリン、楓ちゃんのだよね?」

「うん・・・・ちょっとやけになってるみたい・・・」

「楓ちゃんは?」

「部屋に閉じこもちゃった・・・・」

「そっか・・・・どうしたもんかね・・・」


薫と正太郎は
顔を見合わせるしかなかった。





数日後、高校の入学式を前日に控えた日。

楓は、結局、この数日ヴァイオリンを
弾くことはなかった。




薫がキッチンの片づけをしていると

楓が、そろそろとやって来た。


「薫ちゃん」

「ん?」

「ごめんね・・・」

「どうしたのよ、急に」

「うん・・・なんか謝りたくて・・・
もう、大丈夫だから」

「楓・・・」


薫は泣きそうになり
楓を抱きしめる。


「うん・・・うん、ならいい、楓がそう言うなら
私は何も言わない・・・
でも、なんかあったら、言ってよね
これでも、あんたのお母さん替わりなんだから」

「うん、わかった・・・ありがとう」






翌日、楓の入学式。

朝早く、お祝いの花束が届いた。

カードを開けると


「楓ちゃん、入学おめでとう♪
From ヒカル」


楓は、カードを抱きしめ、心の中で


(ひーちゃん、ありがとう、頑張る!)


「楓~もう行くわよ~」

「は~い!」

楓は、笑顔で学校の入学式に向かった。





☆☆☆




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