いよいよ新たなるステージへ?



☆☆☆

楓の祝賀パーティーの後、ヒカルと真澄が残り
片付けをしていた。

そして、一段落して、皆でお茶をしている時に
真澄がヒカルとの懐かしい話をした後

ヒカルが、これからの事を、話し出した。







「先日、ボクの仕事を認めてくださった方から
長期の仕事のオファーを頂いたんですが・・・」

「あら?どんなお仕事なの?」

「新人バンドの全国ツアーの
STAFFとして参加してくれと・・・」

「バンド?J-POPやROCKとかの?」

「ん~ジャンルで言うと・・・
なんて言えばいいんですかね・・・
クラシックとロックの間?」

「へぇ~葉加瀬さん(※)みたいな?」

「そうですね、簡単に言ってしまえば・・・
あの方は今は、ソロアーティストですが
そのバンドのメンバーは基本
ギターとドラム、ヴァイオリン、ウッドベース、ピアノの
5人編成なんですが
その時々にゲストプレーヤーや
ヴォーカルを招いてやるっていう
柔軟なスタンスなんです。」

「へぇ~面白いわね・・・
でも、今までもそんなのいなかったの?」

「ん~ボクは、詳しくないんで
よくわかりませんけど・・・」

「若いの?その子たち?」

「皆、まだ20歳そこそこです。
ヴァイオリン、ベースにピアノの3人は音大出身で
他の二人は、独学なんですけど
幼少期からやっていた二人で
小さい時は、天才キッズって言われてて
並みの実力じゃないです。」

「なんか、お互いプライドが高そうなメンバーね」

「はい・・・ご想像通り
初めてあった時、すごかったです
それぞれのクオリティは高いのに
全然合わなくて・・・
彼らの事務所のプロデューサーに
試しにどうにかしてみろって
紹介されて・・・・・本当に大変でした・・・・
おかげで、その仕事が終わった後
ストレスもあってか倒れてしまいました・・・」

「え?」

真澄はビックリした。


楓は、思い出したように


「あっあの時?」


「うん」


「あの時って?」


真澄が楓に聞く。

「去年だか一昨年位に
オケの練習にひーちゃん来なくて
電話にも出ないからたーくんと
様子を見に行ったら
高熱で部屋で倒れてたの」

「まぁ大変」

「結局、1週間も入院したのよ、ヒカル君」

「まぁ熱出すなんて、よっぽどじゃない?」

「本当、記憶にない位
熱なんて出したことなかったんで
自分でもビックリでした・・・」

「もう無理しないでよ・・・
ヒカル君に何かあったら
千秋様に顔向けできなくなるじゃないの」

「大丈夫だよ、もうあんな無理はしてないから
まぁともかく
そのとき死に物狂いでやった仕事が認められて
今回の仕事につながったわけで・・・」

「なるほど、で、長期って言ってたわね?
どれくらいなの?」

「ん~ひとまず、半年」

「半年も?」

今度は楓がビックリする。

「うん・・・で、うまくいけば、もう半年くらい・・・
その時の状況でその辺は変わるかも・・・」

「え?1年?」

「なんだか、ものすごい
ビッグプロジェクトね・・新人なのに」

「まぁ所属大手事務所のイチ押しで
ネットやテレビで間接的ではなく
直接、彼らの音を伝えたいって事らしいです。」

「それだけの実力の持ち主なのね、その子らは・・・
ちょっと聴いてみたい気もするわね」

「昨年から、少しづつ曲を作って
レコーディングしてて
そのツアーに合わせて
まずはインディーズからアルバム出して
売上次第ではメジャーデビューに
切り替えるって感じらしいです」

「でも、売れなかったら?」

「正ちゃん、不吉な事言わないの!」

「あっごめん」

「いや、もちろん、その可能性も十分あるんで
一部の人しか見ないテレビに出るより
全国くまなくいろんな場所で
フリーライブを行い・・・」

「フリー?って、お金取らないの?」

「場所によってはって事だけど・・・
まずは、ほとんどライブハウスみたいな所で
何度かやってみて、様子見てって感じみたい・・・」

「まぁなんて、贅沢な・・・」

「最初の半年は、費用は潤沢だって話じゃない?」

「あら?薫ちゃん、詳しいわね」

「龍ちゃんにちょっとね・・・」

「まぁでも、どうなるかわかんないんで
衣装とかにはお金かけずに
食費や宿泊代とかも
なるべく節約しながら、やるそうです」

「そりゃそうよ、いくらイチ押しって言ったって
失敗しちゃったら、すべて無駄だものね・・・・」

「そうなんです、正直ボクら
STAFFにとっても勝負の仕事なんです」

「そうよね~だって
その間、他の仕事入れられないんでしょ?」

「はい、地方に行ったきりになるんで・・・」

「行ったきり?」

「うん、だからこっちには
そうそう帰ってこられなくなると思う」

「・・・・・」

楓は、下を向いて黙ってしまう。

薫が心配そうに


「楓・・・?」

楓は、何か考え込んでいるようだったが
何を思ったのか、力強く顔を上げ



「・・・・・大丈夫だよ、私は。
だって、これから学校でも
ヴァイオリンは教えてもらえるんだし
薫ちゃんもいるし・・・・」

ヒカルは申し訳なさそうに

「楓ちゃん・・・・」

「今まで、ひーちゃんには
沢山、本当にいろんな事沢山教わったし
力にもなってくれた・・・・
家族が・・・・亡くなった時・・・
多分、ひーちゃんがいなかったら・・・
私・・・今生きてなかったと思う・・・」

「楓、何てこと言うの!!」

薫は、楓を抱きしめる。

「薫ちゃん、ごめんね・・・
もちろん薫ちゃんと正太郎おじさんも
私の事で一杯、心配もかけたし
お世話にもなった・・・・

でも、二人は家族だから・・・・
特に薫ちゃんは、ママのお姉さんで・・・

私ね・・・悲しいのに辛いのに
無理して笑ってる薫ちゃん見てたら
中々言えない事もあって・・・・」

薫は、涙を流しながら

「楓・・・・ごめんね・・・ごめん」

「ううん、しょうがないよ
でも薫ちゃんには正太郎おじさんがいたから
大丈夫だと思った・・・・
でも私には・・・・と思ってたら
そこにひーちゃんがいてくれた」

「楓ちゃん・・・」

「私に悲しい事が起こると、決まって
そこにはいつもひーちゃんがいてくれた・・・
それに慰めてくれるだけじゃなくて・・・
生きるための力もくれたの・・・・」

「そんな・・・大げさな事・・・」

「ううん、大げさじゃないよ、どれだけ私が
ひーちゃんの言葉で勇気をもらったか・・・
今こうして、ここにいられるのは
ひーちゃんのおかげなの・・・
ありがとう、でももう大丈夫。」

「え?」

「私は、ひーちゃんのおかげで強くなれた・・・
そりゃこれから先も
まだいろんな事があるかもしれないけど
ひーちゃんにもらった言葉を胸に、がんばる!
だから、ひーちゃん・・・・
いや・・・・ヒカルさん・・・・私の事は気にせず
自分の仕事に専念してください。
そして、絶対成功させてください!!」

「楓ちゃん・・・・」


ヒカルは、楓の決意を聞いて
1度大きく深呼吸した。


「楓ちゃん、正直、ボクも完全に
諦めてたヴァイオリンに
また正面から向き合えるようになった

もちろん以前のように
弾く事は出来ないけれど
いろいろな形で
これからも大好きなヴァイオリンに
関わっていける
そんなふうに出来るようになったのも
楓ちゃんのおかげなんだ

だから、ボクも、楓ちゃんに・・・
いや楓さんに、お礼を言わせて下さい
本当に、ありがとうございました」


ヒカルは、楓に手を差し出す。

楓は、涙を流しながら、手を出す。

ヒカルは、楓の手を握った瞬間
優しく楓を抱きしめ、一言。


「本当に、ありがとう」


楓は、ビックリしたが
嬉しそうに

「ひーちゃん・・・ありがとう」



それを見ていた3人も、大号泣。

そんな中、薫が


「ひっヒカル君
あたしからもお礼を言わせて・・・
本当に今までありがとう
楓がこんなに元気になったのも
全部、あなたのおかげ
本当ならあたしの役目なのに・・・」

「薫さん」


ヒカルは、今度は、薫をハグする。


「薫さん、ボクが言うのもなんだけど
これからも楓ちゃんの事
よろしくお願いします」


薫は、何度も頷くも、涙で声にならない。

今度は正太郎が、鼻をすすりながら


「ヒカル君、これからは
僕が二人を支える、ヒカル君みたいには
いかないかもしれないけど
僕頑張るから」

「正太郎さん」


ヒカルは、正太郎ともハグした。


「大丈夫、正太郎さんなら
ボクは全然心配してません」

「ヒカル君~~~」


正太郎も、ヒカルに力強く抱きつく。


「よかったわ、本当に、本当によかった・・・」


真澄も涙が止まらない。


「真澄ちゃん・・・」


最後に、ヒカルは真澄に向き合い

「真澄ちゃん
あなたには感謝してもしきれないです。

日本に連れてきてくれてありがとう
あなたがいなければ
ボクの方こそ
生きていなかったかもしれない・・・」

「ヒカル君!」

「でももう大丈夫、ボクはこれからも
一生懸命頑張るから見てて
いつか真澄ちゃんにオファー出して
ボクのプロデュースする仕事に
参加してもらえるように、頑張るから」


「楽しみにしてるわ」


真澄は、泣きながら笑顔で
小さい頃から今までのヒカルとの思い出を
思い出しながら、ヒカルを抱きしめた。









☆☆☆

葉加瀬太郎(実名出してごめんなさい)

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