いよいよ舞が、ガラコンサートの為に、来日。

その前に・・・・拓海君のお話を少し・・・。

「54.拓海の物語」の続きです。




☆☆☆



裏軒で、舞の演奏を見た翌日

大学の部室


海翔が先に来ていて
サックスの調子を確かめている。

そこへ、拓海が入ってくる。


「拓海」

「ああ」


拓海は、機嫌が悪そうだ。

海翔は、拓海のそばにより
奥の部屋に来るように促す。

二人は、無言で奥の部屋に入る。

海翔が切り出す。


「で?結局、どうだったんだ?」



拓海は、浮かぬ顔で



「ああ・・・」



海翔は、遅る遅る聞く。


「やっぱり、本人だったのか?」



拓海は、黙って頷く。



「間違いないのか?」



再び、黙って頷く。


「そっか・・・で、どうするんだ?」



拓海は、首を振りながら


「別に・・・」

「でも、今度、日本に来るんだろう?」

「だからって、どうしろと?
向こうが覚えてるかどうかも
わからないのに!!」


ちょっと声を荒げる拓海。


「落ち着け」


海翔の言葉に、我に返る拓海。


「ごめん・・・」


拓海は、また黙り込む。











3か月後

成田空港


到着ロビーで、ヒカルが誰かを待っている。

そこへ、外国人の男性と共に、舞が出てくる。


「ん?あれ?オリバー?」


ヒカルは、びっくりして、思わず声を出す。


「ヒカル!」


舞は、ヒカルを見つけて
小走りでやってくる。


「舞、久しぶりだね」


二人は、ハグする。


「それにしても、何でオリバー?」


「ヒカル、久し振り
今日は舞のマネージャーとして、来たよ」

「え?マネージャー?じゃぁ、まさか舞も
シュトレーゼマン事務所に?」

「うん、だって、ヒカルの両親が
入ってる事務所だもの
一番信頼できるじゃない」

「まぁそうだけど・・・」


ヒカルは、エリーゼの事を
思い出し、苦笑い。








タクシーで、宿泊するホテルに向かう。

車中にて。


「パリの皆は、元気?」

「うん、っていっても、私も忙しくって
最近、ゆっくり話出来てないけど」

「すごいな~舞も、とうとうプロデビューか
がんばったな」

「うん、すごい頑張った。」

「えらい、えらい」

「やだもう~」

「あはははは」

「風雅は?あれから
何回か電話では、話したけど・・・」

「あの時は、びっくりしたでしょう?」

「ああ、急にくるんだもん」

「でも、風雅も、本当に悩んでたみたいだから」

「そうだな、あの時は久しぶりに
沢山、話したよ、なんだか、小さい頃の話とか
お互いの両親たちの話や
あの時の事も・・・・
あっそれに聖良との話も(笑)」

「あたしも、風雅が日本に行った後、聖良に散々
ノロけられた(笑)」

「でも、あの二人の事は、本当によかったと思ってるよ
風雅、ああ見えても、意外と一途でね」

二人同時に

「フランス人のくせに」

二人で大笑い。

「うまくやってるんだろう?二人は?」

「もうデレデレよ
しょっちゅう電話してるもんだから
今度は、その事で
チアキに怒られてるらしいわ」

「そっか、本当によかった」



車は、東京都内に入った。

すると、ヒカルは


「オリバー」

「oui?」

「今日はもう、予定ないんだろう?」

「oui」

「明日は?」

「午前中に、音楽雑誌の取材に
午後は、オケとの顔合わせ」

「雑誌?」

「クラシックライフ」

「ああ、河野さんの所」

「oui」

そこに舞が、会話に加わる。

「ヒカルは?」

「ん?」

「ヒカルは、この後、予定あるの?」

「いいや、今日は
舞の迎え以外は、特に予定はない」

「じゃぁ、飲み行こうよ」

「へ?」

「だって、日本って、20歳になったら
お酒飲んでもいいんでしょ?」

「そうだけど?」

「前来た時は、まだ20歳に
なってなかったから、飲めなかったし」

「いいけど、パリみたいな
おしゃれな店は、知らないよ」

「いいわよ、ヒカルがいつも行ってるところで」


舞の目がキラキラしている


「まぁいいけど・・・」









ホテルのロビー

ヒカルは、雑誌を見ながら、ソファに腰掛け
舞を待っている。

そこに、舞と一緒にオリバーもやってくる。

ヒカルはビックリして


「え?オリバーも行くの?」


「non、エリーゼが
ヒカルと話がしたいって」


オリバーが、電話を差し出す。


「へ?エリーゼ?」


恐る恐る電話に出るヒカル。


「アッアロ~?」

「あらヒカル?ごきげんよう、久し振りね」

「お久し振りです。」


電話なのに、つい頭を下げるヒカル。


「仕事の依頼よ」

「へ?何で?ボクに?」

「当たり前じゃない?
マイを、名もないアマチュアオケで
しかもボランティアで
演奏するのを許可してやったのよ
こちらの要求も聞いてもらわないと
割に合わないわ。」


「そうですけど・・・ボクに何を?」


「曲を書いて欲しいの」

「え?また?」

「また?」

「あっいや」

「ピアノコンチェルトを頼むわ」

「は?ピアノ?ヴァイオリンならまだしも
そんなの無理ですよ、それになんで?」

「話題作りに決まってるじゃない
その曲で、ノダメとチアキを共演させるのよ」

「あの二人なら、もう何度も
共演してるじゃないですか?」

「だからよ、そろそろ何か
目新しい事をしなくちゃ
飽きられるわ。」

「飽きられるわって、ボクが言うのもなんですが
あの二人は、もう十分なキャリアも
人気もあるじゃないですか
それを今更、どうしたいんですか?」

「だからよって、言ってるじゃない!
人間、いくつになっても
挑戦することが大事なのよ
キャリアはともかく、人気なんて
そんなのいつどうなるか
わからないのよ、ここらで一発
ドカンとかましとかないと」

「かますって・・・」


ヒカルは苦笑い。


「ともかく、ひとまず期限は決めないけど
お願いするわ!!わかったわね、よろしく!」


エリーゼは、勢いよく、電話を切った。

ヒカルは、電話を、耳から話して、渋い顔。

そんなヒカルを見て、舞はニヤニヤしながら


「エリーゼなんだって?」


ヒカルは、呆れ顔で


「知ってるんだろう?もう、エリーゼは
いつも無茶ばっかり言うんだ」


舞は、ウンウン頷く。

オリバーが、ヒカルから
電話を受け取りながら


「あれでも、エリーゼは
ヒカルの心配してるんだ」


ヒカルは疑いの目で


「エリーゼが、ボクの心配?」


オリバーは笑いながら


「まぁちょっとだけ?(笑)」

「はぁ~」

ヒカルは、ため息しか出なかった。







ヒカルと舞は、オリバーと別れ
ホテルのエントランスから
タクシーに乗った。

そして、いつもの居酒屋の近くで
タクシーを降り、店に向かった。

二人は、足早に歩きながら


「多分、もう着いてると思うんだけど」

「どんな人たち?楽しみ~」

ヒカルは、舞を待っている間
拓海と海翔を、呼び出していた。


店の扉を開ける。


「いらっしゃいませ~何名様ですか?」


ヒカルは店内を見回す。

奥の方で、海翔が手を振っている。


「あっ待ち合わせです」

「どうぞ~」


ヒカル達は、海翔たちのいる席に向かう。


拓海の姿も見えてきた。

しかも、なぜか二人並んで座ってる。

ヒカルは、ちょっと引き気味に


「なんで、並んでるんですか?」


海翔が、いたずらっぽく

「だって~いきなり
初対面同士で、並んで座るの
微妙じゃない?」


「いや、二人が並んで座ってるのも
微妙ですけど・・」


ヒカルの顔は、やや引きつっている。


「まぁいいじゃん、ひとまず紹介してよ」

「あっそうだ、舞、ん?」


ヒカルが、舞の方を見ると、
舞は拓海の方を見て
ちょっと固まっている。


「舞、どうしたの?」

「あっうんん、何でもない」



舞の反応に少し違和感を
覚えたヒカルだったが、ひとまず
席に着いた・・・。


次回へ、続く・・・・。

☆☆☆




思いのほか、長くなりすぎて
話しを分けました。続きは、また後日。

最初は、この話の時期ですが
第2章の番外編で書いた
「風雅と聖良」
風雅が、日本に来る前のお話のつもりで
書いてたんですが、ちょっといろいろ詰め込み過ぎ感が
出て来たので、風雅が日本に来てヒカルと
こころゆくまで話した後のお話にしました。

なので、もう風雅と聖良が
付き合っているという事になってます。

まぁ風雅と聖良については、今後
また何やらあるかもしれませんので
その時を、お楽しみに~♬