今度は、拓海君のお話・・・。





☆☆☆

ヒカル、3年目の年?



春先、拓海のスマホに峰からの着信。


「もしもし」


「よう、元気か?」


「峰さん、どうしたんですか?」


「いや~実はさ
今年のR☆Sの演目なんだけど・・・」


「今年の演目?何でしたっけ?」


「何だよ、覚えてないのか?」


「ブラームス3番と清良のソロで
ヴァイオリン協奏曲だろ」


「あ~そうだった、久し振りに
清良さんのソロでやるんだった」

「何だよ、ちぇっせっかく清良が
久しぶりにソロやるってるのに」

「あぁ(笑)すいません」

「いや、そうだったんだけど・・・・」

「え?もしかして、峰さん
なんかあったんですか?喧嘩して
清良さんが、やっぱりやめるとか言ってるとか」

「ちげ~よ、何で、喧嘩位で、子供か!」

「じゃぁ何なんですか?
俺、今忙しいんですけど」

「あぁ悪い、悪い、そのコンチェルトなんだけど
ソリスト変更になった」

「やっぱり、まさか離婚とか?」

「だから、何でそうなる?」

「じゃぁ何で
そんなことになったんですか?」

「いや、清良の提案なんだけど
ヨーロッパのコンクールで優勝した子が
今度、日本で公演やることになったんだけど
そいつすげぇヴァイオリン弾く子でさ
ちょうど公演の時期と重なるから
ぜひうちのオケと共演させたいって」

「そうなんですか・・・・
でも、何で、それを俺に?」

「あれ?いや~なんでだろう?
なんとなく・・・?」

「わかりました
いいんじゃないですか?」

「そっか?わるかったな、じゃぁな」

「????」






後日、裏軒

ヒカルが、譜面と格闘している。

そこへ、拓海と海翔が、来た。


「あれ?こんにちは、どうしたんですか?」


店内を見渡す拓海。


「あれ?峰さん、いないの?」

「峰さん?今日は、仕事じゃないですか?
会ってませんですけど」

「そっか・・」

「約束したんですか?」

「いや、2~3日前に、連絡もらって
なんか今年のR☆Sのコンチェルトの
ソリストが変わるって」

「あぁ~」

「ヒカル君、聞いてる?」

「ええ、その子、ボクの
パリ時代の友人なんです。」

「ああ、そうなんだ」


海翔がいたずらっ子っぽく


「あっもしかして、ヒカルの彼女か?」


顔を赤くするヒカル。


「ちっちがいますよ」


さらにからかう海翔。


「あ~怪しいな~ヒカルに会いたくて
日本に来るんじゃないの?」


ヒカルは、さらに顔を真っ赤にして


「違いますって!!」


拓海と海翔は、ニヤニヤしている。


「向こうで、同じ学校に行ってて
住んでる所も、同じだっただけです。」


ヒカルは、そっぽ向きながら

海翔が、不思議そうに


「だからって、あの清良さんが
ソリスト譲るなんて、どんだけの子なんだよ」



「聖良が・・・峰さんの娘が一緒の時期に
パリに留学してて、仲良しだったのもあるんだけど・・・
ボクが、向こうで最後に出たコンクールで
入賞した翌年には、別のコンクールで優勝して
プロデビューが決まったらしいですよ。」

「へぇ~最後のコンクールって
ヒカルが優勝したやつ?ヨーロッパ国際?」

「あぁはい、そうです。」

「入賞って?その子は、何位だったの?」

「3位です」

「へぇ~すごいね、どこの国のこなの?」

「あぁアメリカ人です、国籍は。」

「国籍は?」

「母親が、日本人だったんです。」


海翔が、チラッと拓海を見る。


「じゃぁハーフなんだ。」

「はい」

「ん?だった?」

「あっ・・・なんか小さい頃に
事故で亡くなったって言ってました
あんまり詳しくは知らないけど・・・」

「へ~え、そうなんだ・・・」


また、拓海をチラッと見る海翔。


「名前は?」

「え?あっ舞ですけどけど・・・
Mai Anderson」


しばらく沈黙する拓海・・・


ヒカルは、不思議そうに海翔に目配せする。
海翔は、「さぁ」と、首を振る。

しばらくして、拓海がつぶやく。


「舞・・・ねぇその͡娘の
演奏している映像とかないの?」


「え?ありますけど・・・
ヨーロッパ国際の時のですが・・・」


ヒカルは、パソコンのファイルを開き
フルスクリーンに映し出す。


「ねぇヘッドフォンないの?」

「あっはい。」

ヒカルは、拓海にヘッドフォンを渡す。

拓海は、ヘッドフォンをして
画面を食い入るように見つめる。


「俺には、聴かせてくれないわけね・・・」


海翔は、お手上げのジェスチャーをして
音なしで画面を見つめる。


拓海は、しばらくその場から、動かなかった。

ヒカルは、不思議そうに


「拓海さん、どうしちゃったんですかね?」

「ん~・・・・そうだね・・・」


海翔は、意味深な返事をする。


「ねぇヒカルの演奏は、ないの?」

「え?まぁ一応ありますけど」

「後で、見せてよ」

「・・・まぁいいですけど」

「ところで、あの演奏どれくらい?」

「結構、長いですよ、本選なんで・・」

「全部見る気かな」

「どうなんでしょう・・・」


そのうち、二人は、諦めて各々の事をしだす。

しばらくして
ようやく舞の演奏が終わったのか
拓海は、ヘッドフォンを外した。

それに気が付いた海翔は


「どうだった?」


拓海は、思いつめたような顔で


「うん・・・すごいね、この娘・・・
ヒカル君と同い年なの?」


「あっはい、でも、この時は・・・
何年前だ・・19歳か・・3年前?」


「ふ~ん・・・あっ海翔も聴いてみる?」

「いや、俺は、ヒカルの聴くから」


いつもの拓海に戻り


「え?ヒカル君のもあるの?聴きたいな~」

「今日は、もういいじゃないですか」


拓海は時計を見て


「まぁそうだね、ヒカル君のは
今度にするか」


海翔は、ヒカルに


「どうする?飲みにでも行くか?」


ヒカルは、テーブルの上に
広げた書きかけの譜面を見て


「いや、ボク、まだやることがあるので」


「そっか、邪魔して悪かったな
じゃぁ今日は、帰るわ」

「はい、じゃぁまた」

拓海は、何か考え込んでいるようだったが
海翔が外に出るように促し
二人は帰って行った。

「結局、何しに来たんだ?あの二人・・・」


ヒカルは、不思議そうに二人を見送った。







拓海は、帰り道もずっと無言で
考え込んでいた。

海翔は、心配そうに

「大丈夫か?」

拓海には、その声が聞こえないのか
さっさと先に歩いて行ってしまった。


「・・・・しょうがねえな」


海翔が、慌てて追いつこうとすると
突然拓海は立ち止まり
海翔の方に振り向き

「海翔、ごめん、用思い出したから
急いで帰らなきゃ」

道路に向かって、手を挙げ
偶然通りかかったタクシーに飛び乗り
行ってしまった。


「・・・・・あ~いちゃった・・・・」


海翔は、呆然とタクシーが
走り去った方を、見つめ続けた。







家に着いた拓海は、慌てて自分の部屋に向かい
パソコンの前に座り、電源を入れた。

しばらくして、検索サイトを立ち上げ
何やら打ち込んだ。

そして、出てきた記事を
いくつか開き、読み始めた。

何回か、それを繰り返し見終わった後


「やっぱり・・・・」


そう拓海はつぶやき、パソコンを閉じ
部屋を出て、洗面所に向かった。

そして、鏡の前にたち、しばらく鏡を見つめたのち
コンタクトレンズを外し顔を洗う・・・。

そして、顔を上げ、タオルで顔を拭き

「舞・・・・パリに居たのか・・・・」

そうつぶやいた鏡に映った拓海の瞳は・・・・・




両目とも青かったのである・・・。









☆☆☆


あははははは~

笑ってごまかす。

すいません、続きは今度ね。

本当は、海翔の方を解決してから
拓海の話に行くつもりだったんだけど
ちょっと事実確認したい所があって
(妄想とはいえ、適当な事書けない部分があるので)

なので、先に出来てた、拓海のお話出しました。

とはいえ、この続きの構想は出来ているのですが
まだ文章には起こしておらず、こちらも
続きがいつになるやら~です。

すいません。

See you~