まぁちょっとした出来事(笑)

峰の目指していた
「進化するオーケストラ!!」?











☆☆☆



日本での生活も2年目に入り
だいぶ慣れて来たヒカル。

そんなある日、峰家に呼び出された。






そこは、昔、峰龍太郎の父親、峰龍見が
中華料理屋を開いていた場所。

裏軒自体は、数年前に龍見が引退した時に
後継ぎもいなかったので、泣く泣く閉店。

建物自体は、峰家の所有(母の)だったので
店舗自体は、そのまま残し
今は、R☆Sオケの
事務所兼休憩所的な場所になっている。

龍見も、時折、誰か来ると
下に降りてきて
話し相手をしていたり
龍太郎の息子の弦太が
2階より落ち着くと
ここで勉強していたりするのである。





入り口は、裏軒の頃の引き戸のままである。

ヒカルは、引き戸の鍵を開け、中に入る。

「こんにちは~」


何の反応もない。


いつもの事なので、荷物をその辺において
カウンターの中に入り、お湯を沸かし始める。

そこへ、2階から誰か降りてくる。

寝起きで、髪の毛ボサボサの峰龍太郎だ。


「ん?」


ヒカルの姿を見た峰が


「よう、早いな、もう来てたのか?」

「まぁ出かけついでに、寄るとこあったんで
何か飲みます?」

「あっ悪ぃ、コーヒー頼むわ」

大あくびをしながら、椅子に座る峰。


ヒカルは、慣れた手つきで
二人分のコーヒーを注ぎ
テーブルまで持ってくる。


「で、何ですか?話って?」

「あぁ?あぁそうそう
それなんだよ・・・あれ?真澄ちゃんは?」

「へ?真澄ちゃんも呼んだんですか?」

「あぁオケの今後の事だから、
真澄ちゃんにも話通しときたくてな」


壁掛け時計に目をやる峰。

すると突然
外が急に暗くなり、突然の雷雨。


「すげぇ雨・・・」

「ホントだ」


そこへ、びしょびしょになった
真澄が飛び込んでくる。


「やだ~もう、あとちょっとだったのに
急に降ってくるんだもん」

「ちょっと待ってて」

峰は、急いで2階に飛んで行く。

しばらくして
タオルと着替えを持って、降りてくる。

ヒカルは、真澄の分のコーヒーを
入れて持ってくる。


「2人とも、ありがとう」


真澄が着替えも済ませて、一息ついた頃
峰が切り出す。

「気が早いと思うけど
3年後のR☆Sオケの公演で
俺やりたいことがあるんだよな」

「何かと思えば、3年後って言えば、30周年よね?
指揮は千秋様に頼んであるんでしょ?」

「そうなの?」

ヒカルが聞き返す。

「そりゃあそうよ、30年よ
このオーケストラが出来て、30年。
創設者の千秋様が指揮をやらずして
誰がやるというの!!」


真澄が興奮して、答える。


「その30周年の記念公演で
今更だけど、オケのオリジナル曲を
やりたいんだよ」


真澄は、不思議そうに


「オリジナル?そんなの、ないじゃない」


「だから、作るんだよ」

「誰が?」


峰が満面の笑みで、ヒカルの方に顔を向ける。


「へ?ボク?」


「あら、それはナイスアイデア!龍ちゃん!!
龍ちゃんの割には、良い事考えたわね」

峰は、ちょっとムッとして

「なんだよ、俺の割にはって?」

「いいの気にしないで(笑)」

「ちょっと待ってよ、何でボクが?」

「だって、お前作曲勉強してたんだろ?」

「そうだけど・・・
作曲科にいたの、数か月だし・・・」

「ヴァイオリンやってた時だって
作ったことあるんだろ?」

「そりゃあるけど、ソナタ位で
協奏曲も作ったことないよ」

「そうなのか?千秋は、大学時代
何曲か作ってみたいだぞ」

「そういえば、3人で千秋様の曲で
アンサンブルやったわね~」

真澄は、遠い記憶を思い出し、ウットリ


「父さんと一緒にしないでよ」

「あぁ悪ぃ
でもさぁ、チャンスじゃねぇの?」

偉そうに峰が言う。

真澄は、興奮した目で

「そうよ、こんな機会めったにないわよ」

ヒカルは、困った顔で

「でも~うまくできる自信が・・・」

峰は、バンッとヒカルの背中を叩き

「そんなの、気にすんな!
出来なきゃ出来ないで
その時考えればいいんだし」

真澄も、ヒカルの肩に手を置き

「そうよ、やってみる価値は、あるんじゃない?」


「・・・・・でも・・・どんな曲・・・??」

峰は、興奮して立ち上がり

「そりゃぁ、迫力一杯の・・・そうだな

ヒカル・チアキ交響曲第1番
「ライジングスター」

ってのは、どうだ?」

ヒカルは、さらに困り顔。

「シンフォニー?だから
コンチェルトだって、作ったことないってば」

峰は構わず

「いいから、いいから
ライジングスターっていう位だから
このオケの歴史みたいなのを
表現出来たら、いいぞ!」


ヒカルは、泣きそうになり


「そんな簡単に、言わないでよ」


峰は意地悪そうに


「一人で、無理なら
千秋に手伝ってもらってもいいぞ
どうせあいつも、このオケの一員なんだし
いろいろ創設当時の指揮者の苦悩とか
話し聞いてみると面白いかもよ」

真澄はニコニコ笑顔で

「そうよ、私たちも、協力するから
チャレンジしてみなさいよ?」

「・・・・・」

ヒカルは、峰の突拍子もない提案にビックリし
ただただため息しか出ないのであった・・・。








後日

ヒカルは、ツアー先の真一と
電話で話をしている。


「あはははは、峰らしいな」

「父さん、笑い事じゃないよ」

「まぁあいつなりに
お前の事考えてくれてるんじゃないのか?」

「え?」

「だって、オケの手伝いって言ったって
雑用ばっかりじゃ峰も
気が引けたんだろうに
せっかくのお前の才能、なんとか
生かせる方法はないのか?って
考えてくれたんじゃないのか?」


ヒカルは、ちょっとビックリして


「・・・・まさか、父さんがけしかけたの?」


「知らん・・・とは言わないが
ただ相談されただけだ・・・
俺は、気にせず、こき使ってくれって
言っておいたがな(笑)」


ヒカルは、呆れ顔


「何だよ、それ・・・」


真一は、電話の向こうで、優しく


「でも、本当にチャンスじゃないのか?
こんな機会めったにないぞ」


「・・・・・」


「アマチュアとはいえ
交響曲1曲作れるなんて、そうそうないぞ
しかも、うまくいけば公演で
演奏してもらえるなんて
俺なんて、忙しくて作っている暇が
いまだにない(笑)」


「父さん・・・自慢することじゃ・・・・
僕に出来るかな???」

「やってみるしかないだろ?
あの当時の話なら、いくらでもしてやる。
それに、ダメ出しもたくさんしてやる。

俺の指揮で、お披露目するんだろ?
息子だからって、容赦はしないぞ
俺も納得するまで、とことん付き合ってやる
だから、頑張ってみろ!!」


しばらく、何も言えないヒカルであったが


「・・・・・うん、ボクやってみるよ
やるまえから、出来ないって
諦めてたら、何にも出来ないもんね・・・・
よし!こうなったら
まずは、母さんに当時の話聞かなきゃ・・・」


「ん?何で?のだめなんだ?」


「だって、父さん
きっと自分の格好いい所しか
話してくれないから(笑)

峰さんが言ってた
当時の指揮者としての苦労話
しっかり聞いて来いって」


「なんだよ、あいつだって
そうじゃないか(笑)」


二人は、笑いあった。


「じゃぁ、父さん、ありがとう」

「おう、頑張れよ」

「うん、じゃぁね」

「ああ」

電話を切り、真一は、ふと思った。

こんなに笑ったのは久し振りな気がした。
ヒカルのあんな明るい声を
聞いたのも久し振りな気がした。

自然に笑みがこぼれ


「峰に感謝だな・・・」






☆☆☆


まぁ妄想なので、勘弁してください(笑)

ともかく、ヒカル君が、心から立ち直り
少しづつ前に進んで行こうとする姿を
周りの大人たちが、応援しながら支え
温かく見守っているというお話です。

誰か、交響曲「ライジングスター」
作ってくれないかな?(笑)


後、裏軒の現状も、どうなっているのか
勝手に描いてみました。

裏軒はなくなりましたが
峰パパは、まだ健在です。



See you~