もうすぐ、R☆Sオケの公演。

プロメンバーが、次々と帰国。

その中に、あの黒木の姿も・・・。


☆☆☆


この年のR☆Sオケの公演を
2週間後に控えたある日。

続々と海外で活躍している
プロメンバーが、帰国。

この日は、ドイツのオケで、首席奏者を
務めているオーボエの黒木が合流した。







桃ケ丘音大 小ホール


真澄が、スタッフと話をしている。
そこへ、黒木が現れる。


「真澄ちゃん」

「あら~黒木君じゃない!お帰りなさい
いつ戻ったの?」

「今朝着いたばかりなんだ、直接来ちゃったよ
で、今回は、息子の詩音も連れて来たんだ」

詩音は、ペコっとお辞儀する。

「まぁまぁ詩音君?、はじめまして。
奥山真澄です。よろしくね。」

「ハジメマシテ、シオンデス」

「日本語の方は?」

「ん~たまに僕と話す位だから、そんなには・・・」

「そっか、まぁヒカル君いるし、大丈夫でしょ?」

「え?ヒカル君来てるの?」

「あら、言ってなかったかしら
あたしの助手しながら
オケのお手伝いもしてるの。
専門的な知識は、豊富だからね」

「そうか、ちょっと話しできるかな?」

「ちょっと待ってて」

真澄は、スマホを取り出し
電話をかけ始める。

「あっヒカル君?今、どこ?
あっじゃぁ
観客席の方に黒木君が来てるから」


真澄は、電話を切り


「すぐ、来るって」


数分後、小走りにヒカルがやってくる。


「すいません、お待たせしました」

「ヒカル君、元気そうだね」

「黒木さん、久しぶりです。まぁなんとか
真澄ちゃんたちのおかげで」

ヒカルは、笑顔で答える。

「あら~わたしは、何もしてないわよ~
ところで、今手空いてる?」

「あっはい、拓海さんたちと
雑談してただけなんで」


「ヒカル君、詩音覚えてる?」

「え?あっ、詩音君、Guten  tag」


すぐに、ヒカルはドイツ語で挨拶をする。

詩音は、ニッコリ笑って


「Guten  tag」


「いつ日本に?」

「さっきだよ、直接こっちにね」

「詩音君、日本語苦手みたいだから
ヒカル君、練習の間
相手してあげてくれる?」

「いいですよ」

「ありがとう頼むよ」


真澄と黒木は、舞台の方に向かう。










しばらく、R☆Sの練習風景を
二人黙ってみている。

ドイツ語で、詩音に話しかけるヒカル。

「空港から直接だと、疲れたでしょ?」

「あっはい。でも、父は早く
皆と合流したかったらしくて
ずっとそわそわしてましたよ」


ニコニコしながら、詩音が答える。


「妹だっけ?双子の?」

「はい」

「一緒に来なかったの?」

「奏音(カノン)は、
母とパリに行きました。」

「パリに?」

「多分、ヒカルさんの実家に
行ったんじゃないかな?
NODAMEさんに逢いに
行くって言ってたから」

「母さんに?ふ~ん」

「奏音、NODAMEさんの
ピアノが大好きで
実は・・・・来年、パリに留学したいって
言いだしたんです。」

「へえ~コンセルヴァトワール?」

「はい。母は、試験受かれば
行ってもいいんじゃない?って」

「しかもボクにも行けって・・・・
でも・・・」

「・・・・でも、君は行きたくない・・・・か・・」

「・・・はい・・・ボクは
このまま父について
勉強したいんですけど・・・・」

「あれ?詩音君
専攻クラリネットじゃなかったっけ?」

「去年から、オーボエに転向したんです。」

「なるほど・・・・君はずっと黒木さん
お父さんのオーボエを聴いてきたから・・・」

「はい・・・だからこそ
今は父のそばを離れたくないんです」



「そっか・・・・・ん~パリにずっといたボクが
偉そうなことは言えないんだけど・・・

君の中には、もうお父さんの音は
刻み込まれている・・・・

だから、せっかくのチャンスだし
今はいろんな人に教わるのも
悪くないんじゃないかな」

「実は、父にも似たような事、言われました」

「そうなんだ」

「・・・・・」

「ボクの話になるけど・・・・君も知ってる通り
小さい頃から
ずっとヴァイオリンをやってきた。

最初は、父さんに教わりながら・・・
でも、あの人は、プロ並みの腕はあったが
ヴァイオリニストじゃない。

だから、すぐに、別のヴァイオリンの先生に
教わるようになった。

で、11歳の時にコンセルヴァトワールに入学し
4年間、ヴァイオリンのクラスで学んだ。
しかも、毎年ちがう先生に。
その後も、室内楽のクラスで3年・・・

ボクは・・・なんだろうな・・・
うまく言えないけど
弾き方のこだわり?とか
プライド?とか
あんまりなくて
いろんな人の演奏を聴いたり
いろんな先生に教わることで
出来る限り吸収して
自分の物にしてきた・・・って

偉そうに聞こえるかもしれないけど
でも、そうやってここまで来た・・・

まぁそれが、ボクのプライドって言えば
そうなるのかもしれないな・・・。

結局、全然違う事で
ヴァイオリンは諦めたけど
いままでの経験は
決して無駄ではないと思ってるよ。」



詩音は、黒木からヒカルの事は聞いていたので
どうしようかと思ったが
恐る恐る聞いてみた。


「・・・・ヒカルさんは、その事で
音楽を辞めようとは
思わなかったんですか・・・」


「ん~そりゃ、思わなかったっていうと嘘になるし
だから、日本に来たって言うのもあるし・・・

でも、ボクは音楽の元に生まれて
音楽と共に育った・・・

それに、今の世の中
音楽と離れるっていう事が
どれだけ難しいかって
詩音君でもわかるでしょ?」


「まぁたしかに・・・」

「っていうか、話しが逸れたね
ボクの話は置いといて(笑)

だから、今はまだ、お父さんに執着せず
いろんな人に師事するのも
ありなんじゃないかな・・・
それからでも、遅くはないと思うよ・・・
お父さんの弟子になるのは・・・」


「そっか・・・その方が
音楽の幅も広がる・・・か」

「うん・・・だと思うけど・・・
あっなんか偉そうにごめんね・・・」

「いや・・・」

「あっあと、友達も大事だよ
同じ楽器専攻でもいいし
そうじゃなくても、いろいろ相談したり
時には喧嘩したり
今のボクには
それが一番の財産になってるかな・・・・」

「友達か・・・・」


「まぁ、結局は、君が決めることだし
ボクの話は、参考程度にしといて」

「はぁ・・・・ありがとうございます
ボクなりに考えてみます。」


そうこうしているうちに
R☆Sのリハも終わり
オケも解散になった。








2週間後の本番も無事に終え、黒木と詩音は
ドイツに帰国。







黒木は、ある日、千秋に電話をかけた。


「へぇ~ヒカルが、そんなことを・・・」

「うん、詩音も、ヒカル君と話すまでは
嫌々だったみたいだけど
今じゃ、パリに早く行きたいって
張り切ってるよ。」

「あいつも、いろいろ考えてるみたいだな・・・」

「でも、よかったよ、音楽からは
離れてないみたいで」

「うん・・・・ありがとう、黒木君
ヒカル、自分じゃ何も言ってこないから
のだめも心配してて」

「こちらこそ、ターニャも感謝してるよ
ヒカル君のおかげだって」

「いい方向に行くといいな」

「そうだね・・・後は、本人次第だけど」

「じゃぁ、また。黒木君も頑張って」

「ありがとう、千秋君も」

「ああ」

電話を切る二人。







☆☆☆




時期は、双子ちゃんがパリに留学するのは
ヒカルが、日本に来た翌年の設定なので
この話は、やっぱりヒカルが日本に
来た年になりますかね・・・。

正直、まだ日本に来て数か月のヒカルが
もうこんなに立ち直って
自分の過去と向き合えるかって考えた時に
?????どうなんだろう????
とは思いましたが
まぁ妄想なんで、その辺は、すいません。
(すぐ最後は、これで片づけてしまう)

この後、どうして前向きになったか
きっかけの話が、後に出てきます。
まぁそのうちに・・・・。


で、ヒカル君のヴァイオリンに対する想い?
プロになる人なら、当たり前の事なんだろうけど
素人なりに、勝手に解釈してみました。
(うまく表現できなくて、すいません、長いし)

で、それをじっと見守る親心・・・・


会話文のばかりの所は、話し方で
誰が話しているのか、判断してください。

相変わらず、文才がなく
読みづらくて、ごめんなさい。

最後に、ヒカル君は
フランス語、ドイツ語、英語が堪能という設定です。
(頭脳は、千秋先輩並みです、
のだめに似なくて、なにより?笑)


なんだか、全体的に、真澄ちゃんの出番が、
減ってきています。
意識してるつもりはないんですが・・・
真澄ちゃんに罪はないのに!!