4人が、離れ離れになってから、
1年半頃の話。

風雅は、指揮科を卒業し
改めて、千秋真一の弟子というか
助手という形で
ツアーや、いろんな活動に
同行することになったのだが・・・。


※ト書きが、多いです(笑)

会話文だけの部分は、想像してください。

で、何回かに分けようと思ったのですが
思い切って、1回にまとめたので、長いです。






☆☆☆


ちょっとボクは
疲れていただけなんだと思う・・・・。

泣かないように
歯を食いしばっていたんだ。










ある日ボクは、突然、逃げた。


気が付いたら、ウィーン行の
飛行機に飛び乗っていた。


行く当てもなく
(いや実は、あるんだが・・・)

ウィーンの
コンセルヴァトリウム(音楽学校)の
前まで、やってきていた。



だからといって
どうにもならないのだが・・・・。

正直、勢いでここまで
来てしまったものの
途方に暮れていた・・・。




すれちがう学生たち・・・・
アジア系の女の子が
通る度、顔を確認する。



「・・・いるわけないよな・・・
オレ、何やってんだろ・・・・」



諦めて、帰ろうとした時・・・・



「風雅?」


どこからか自分を呼ぶ声が・・・・

あたりを見回す

そこには、久し振りにみる
愛しい彼女の姿・・・・



「聖良・・・・・」



思わず抱きつこうとしたが
聖良にわき腹を突かれ


「うっ」


「あんた、なにやってんのよ、こんな所で」


お腹を、抑えながら・・・目を反らし


「何って・・・・聖良に逢いに・・・・」


聖良は、呆れた顔して


「もう何にも言わずに
パリ出て来たんでしょ?」


「え?」


図星だった・・・。

聖良は、さらに呆れ顔。


「舞から、連絡があったの
風雅が消えたって・・・
たぶん、そっち行くと思うって・・・」


「何だ、もうバレてんだ・・・・」

うなだれる風雅。


「あたりまえじゃない!
風雅の行動なんて
バレバレよ、もう、どうしたのよ?」


いい加減、怒る聖良。


黙る風雅。



「・・・・・・・」


再び、呆れ顔の聖良。


「ともかく、行くわよ」


「どこに?」


「風雅の泊まるホテル」


「今、来たばっかで
ホテルとってない」


「もう、しょうがないな」


「ごめん・・・・」


「じゃぁどこでもいいね
ホテル案内するわよ!」


「ありがとう・・・」

さっさっと、先に行く聖良。
その後を、とぼとぼついて行く風雅。









近くのホテルにチェックインして
ひとまず部屋に入る


風雅は、ベッドに腰掛けて、一息つく。


聖良は、腕組みして立ったまま。


「で、どうしたの?」


「・・・・・」


「そう聞くと、すぐ、だんまりね
まぁいいや
なんとなくはわっかってるし」


「じゃぁ聞くなよ」


むくれる風雅。


「だけど、また聞きだからさぁ
正確な話を、風雅の口から
聞きたいと思ってたんだけどな・・・」



「ごめん・・・・・」



「まぁいいわ、ひとまず
今日はゆっくり休みなさい
また明日来るから・・・・逃げないでよ」


「うん・・・・」


聖良は、風雅の頭をポンポンと叩き


「じゃぁね」



聖良は、部屋を出て行った。










翌日


お昼前に聖良が、部屋に来た。



「で、これから、どうするつもり?」

「・・・・・どうしよう?」

「もう何も考えてなかったの?」

「・・・うん」

「もう・・・・」

「ねぇ・・・舞には、連絡しちゃった?」

「・・・・してないけど・・・・
多分、わかってると思うわよ。」

「・・・そっか・・・・オレ
・・・破門だよな・・・・」

「・・・わかんない」


聖良は、お手上げのジェスチャー


「はぁ~・・・・」

「じゃぁ、なんで
こんなことしちゃったのよ」

「だって・・・気が付いたら
飛行機乗ってたんだもん」

「ヒカルのパパに、何て言われたの?」



風雅は、モジモジしながら



「・・・・・環境にもチャンスにも
恵まれているのに
それを生かさないなんて
やりたくても出来ない人に
対して失礼だ。
もうパリに帰りなさい・・・・・って」


「まぁ正論だわね・・・・」



「わかってるんだけど・・・・・
どうしても、身が入らなくて・・・」


「まぁ、あたしらとは違って
風雅は、小さい頃から
ずっと一緒で
友達でライバルでもあったわけで

そんなヒカルが目の前からいなくなって
やる気無くす気持ちもわかるけど・・・

もう1年だよ・・・・ヒカルが日本に行って。
いい加減立ち直りなさいよ」


「そんな事言ったって、聖良だって
もうパリには行く気ないんだろう?」


痛いところを
突かれた聖良は、目を反らし


「うっ・・・・それは、あたしはこっちで
勉強してるし、行く機会があれば
いくわよ、パリ位」


強がって見せる聖良。


「それに、当時は
そこまで考える余裕がなかったけど
本当に一番ショックなのは
ヒカル本人なんだし
私たちはヒカルの分まで
頑張るしかないでしょ」


「そんなの頭では
わかり過ぎる位、わかってるんだよ
ヒカルが、ああいう事になって
皆には、誰の責任でもない
誰も悪くないって、言ってたけど・・・・」


「そうだね、風雅は
私と舞を励ましてくれて
元気づけてくれた・・・」


「本当は、オレ・・・・自分を庇って
ヒカルが怪我し、
それでヒカルの夢が
叶わなくなってしまった
オレはとんでもないことを
してしまったって・・・・
ずっと、頭から離れなくて・・・・」


頭を抱える風雅。


聖良は黙って
後ろから風雅を抱きしめた。
しばらく、そのまま二人は
何も言わなかった・・・


そして聖良が静かに


「今度は、私の番だね・・・・
風雅・・・・風雅は何にも悪くない・・・
本当に、誰のせいでもない
誰も悪くないんだよ・・・」


聖良は、力いっぱい
風雅を抱きしめた。

風雅は、堰を切ったように
声を出して泣いた。
聖良も、静かに涙を流した。


しばらくして、風雅が落ち着くと


「・・・・だったらさ、風雅
日本行ってみれば?」


「え?日本に?」


風雅は、聖良の突然の
提案にビックリする。


「うん、で、ヒカルに会ってくればいいんだよ
だって、あの後、まともに話せないうちに
ヒカル日本に行っちゃったんでしょ?」


「まぁちゃんとは、話せてないかも・・・」


「私は、ヒカルが日本に来た時に
話し出来たから
心置きなくウィーンに来れたけど・・・」



風雅は、黙り込んで何かを考えている。










しばらくして
風雅は、バスルームで顔を洗っていた。


聖良は、ベッドの上に腰掛け
4人で写っている写真を眺めている。


風雅が、バスルームから出てきて
恥ずかしそうに


「ごめん・・・なんかかっこ悪いとこ
見せちゃったな・・・」


「何言ってるの、今更」


聖良は、微笑んだ。


「オレ、聖良の提案通りに
日本に行って、ヒカルに会ってくる。
今、あいつが、どんな気持ちでいるか
わかんないけど
オレは、あいつと話がしたい
今のオレの気持ちを
伝えたい・・・・って思う・・・
オレの身勝手かな・・・?」


聖良は、ホッとした顔で


「ん~それは・・・・・・
ヒカルの中で、もう1年なのか
まだ1年なのかは、わかんない・・・
でも、風雅が、前に進むには
それしかないと思う・・・・」


「顔も見たくないって
追い返されたらどうしよう?」


苦笑いしながら風雅が、つぶやく。


「それは、それでしょうがないから
東京見物でもしてくれば?」


意地悪顔で、聖良が答える。


「へ?」


「で、また数年したら、会いに行って
それでも、追い返されたら
またしばらくして会いに行く
そのうち、会ってくれるんじゃない?」


「なんだよ、それ・・・・」


「っていうか、それぐらいの
覚悟で行けって事。
それが、本当の友達でしょ?」


「・・・・・そうだな、どうなるか
わかんないけど・・・行ってみるよ」


「そう、その意気、がんばれ風雅君!!」



その聖良の励ましに
たまらず風雅は聖良を抱きしめる


「きゃっ!」


聖良はビックリして
思わず声をあげてしまう。
風雅は構わず


「聖良、ありがとう・・・・
やっぱり聖良は、オレにとって天使だ
聖良に会わなきゃ
オレ、もう指揮もやめて
一人でクサッてた。
オレは、聖良が好きだ!大好きだ!」



抱きしめる腕に力を入れすぎて


「痛いよ、風雅」


「あっごめん」



風雅はあわてて、腕を離す。


聖良は、ジッと風雅の
目を見つめる。
そして、不意にキスをする。


風雅は、あまりにもビックリして
動けなくなる。



「ふんっ、いつかのお返し」







☆☆☆回想☆☆☆



数年前
パリのコンセルヴァトワールに
通ってた頃・・・・
聖良が、母親も過去に
出た事のあるコンクールで
あまりいい成績ではなく、
落ち込んでた時

ヒカルに対する
淡い恋心?と
ヴァイオリニストとしての
ライバル心といろんな思いで
頭が混乱していた。


そんな聖良を見て
風雅はたまらず


「ヒカルじゃなくて
オレにしろよ」


と、ちょっと強引に
キスしたことがあるのだ。


「風雅のバカ!」


聖良は、しばらく口を
利いてくれない時期があった。



☆☆☆





真っ赤な顔した風雅だったが
過去を思い出し
さらに赤くなった。

聖良は、ちょっと風雅から
離れて、伏し目がちに


「あの時、本当に
ショックだったんだから
初めてだったし・・・」


「え?」


「しかも、あの後
私がコンクールの事で
落ち込んでると思って
ヒカルには慰められるし
それでまたコンクールの
ショックも思い出して・・・
最悪だったわ・・・・」


天を仰ぐ聖良。


「ごめん・・・」


ちょっと肩を落とす風雅。


「でも、あの後、二人もいろいろ
悩んでるんだって
皆同じなんだって・・・
わかって、ちょっと吹っ切れた」


声が、ちょっと明るくなった
聖良を風雅は見つめる。


「・・・・・」


聖良は、まっすぐ風雅を見つめ


「だから、風雅も日本に行って
ヒカルと会って
吹っ切っておいで
私、待ってるから・・・・・」


「え?」


聖良の言葉に耳を疑う風雅。


そんな風雅を見て、微笑みながら
部屋の中を、ウロウロしながら


「私ね・・・・この1年、
皆と離れて、わかったんだ・・・・

たしかに、ヒカルに惹かれてた時期も
正直あったと思う・・・

でも、それは、日本を発つとき
ヒカルと話してみて、確信した
ヒカルに対しての気持ちは、
ただの憧れと嫉妬だったって・・・

でね、いつも私の事からかって
ちょっかい出してくる風雅を
最初は、何こいつ?と思って
うっとうしい奴って・・・でも・・・
そのうちそんな風雅が
私のそばにいるのが自然になってた・・・

それが、あんな事があって
私が日本に逃げて
そのまま離れることになちゃって・・・

しばらくは、何も考えずに
ヴァイオリンに没頭してたけど
ある日、なんかね
夢に出て来たんだよ・・・風雅が・・・」



と、風雅の方に向きなおす。

風雅は、ビックリして


「エ?オレが?」


聖良は、また向きを変え


「うん・・・・でね
夢の中の風雅が言うの・・・・

(そろそろオレの事が
恋しくなったんじゃないの?)

って、だから、私言ったの

(何言っての?そんなわけないじゃん
バカじゃないの?)

って」


「あははははは・・・・」


風雅は、何も言えず、苦笑い


「でも、そう言いながら
私、風雅に抱きついてた」


「へ?」


「で、思いっきり泣いちゃった・・・・で
泣きながら目が覚めた」


「・・・・・」


風雅は、何も言えなかった。



「なんか、悔しいけど
その時、初めて気が付いた・・・・
あぁなんだ、私、何だかだ言っても
風雅の事、好きなんだ・・・って」


再び、風雅の方を
見た聖良の目には涙が・・・。


「聖良・・・・・」


風雅も、目がウルウルしてくる。



「だから、私待ってるから。
風雅が、納得して
また音楽の世界に戻ってくるの」


聖良は、今度は自分から
風雅を抱きしめた。


風雅も、聖良を抱きしめ
改めてキスを交わす二人・・・





☆☆☆




数日後、ウィーンの空港


聖良から連絡を受け
パリから舞も駆けつけた。



「ヒカルによろしく言ってね」


「うん、悪かったな舞
わざわざ来てもらって」


「だって、皆からの伝言
伝えなきゃいけないし」


「伝言?」


「まず、ヒカルパパから・・・
納得いくまで帰ってくるなって。
待ってるからって。」


「チアキ先生・・・」


「で、のだめママは
風雅君、頑張ってくださいって・・・・
で、風雅のママは・・・・
風雅の事頼んだわよ~と
あたしがこっちに来る前日に
アメリカ行っちゃった・・・」


「へ?アメリカ?あっ姉さん?」


「そう、ちょっと前に
雅さんから、連絡来てたらしくて
風雅がどうなるか
わかんなかったから
保留にしてたらしいんだけど
日本に行くって聞いたら
じゃぁ雅の所行ってくるわ~って」


「あっは、なるほど・・・」


「なんか、お姉さんに
あったのかな?」


「いや、そんな深刻な
感じじゃなかったから
大丈夫じゃない?」


「ならいいけど」


出発のアナウンスが入る。



「じゃぁ行くわ」

「うん、気を付けてね」


風雅と聖良は、
軽くキスを交わす。


「いってらっしゃ~い」


聖良は、風雅が
見えなくなるまで、手を振る。


「ふ~ん、なんか素直になると
人間変わるもんね」


意地悪そうに舞が言う


「え?何が?」


「だって、電話でも
メールでも、風雅の文句ばっかり
夢にまで出てきて
からかうって・・・・」


「・・・・だって・・・・」


ちょっとモジモジする聖良。


「でも、そうよね
口を開けば、風雅の事ばかり
文句言ってるのか
のろけてるのか、聞いてるこっちが
赤面しそうな時もあったし」


「なによそれ~」


聖良は、膨れてみせた。


「でも、あたしは
こうなる事わかってたっていうか
こうなってよかったと思ってるよ」


「舞・・・・でも、これでって
言っちゃなんだけど
舞もヒカルに対して
素直になれるんじゃない?」


「ん~・・・・どうなんだろう?」


「え?」


「あたしさぁ・・・ヒカルに対して
そういう感情がないと言ったら
嘘になるんだけど、かといって
じゃぁそういうふうに
行動とるかっていうと
なんか違うんだよね・・・・
なんか、私の中では
ヒカルはライバルって感じなんだよね」


「なんだ私と一緒か・・・」


「そうなのよ・・・
正直、今の私は
あの頃のヒカルに
まったく追いついてない
しかも、またよまた
ママの時みたいに
これからって時に
自分の前から消えていなくなる・・・
結局、永遠に敵わない相手って感じ?」


「そっか~なんか、私なんて
二人の足元にも及ばないって感じだな」


「なに言ってんの
それこそ、これからでしょ?」


「まぁそうなんだけどね~
やっぱ、がんばるしかないよね~」


「そうよ、音楽も恋も
まだまだこれからよ!」


「あはははは」


二人は、決意を新たに、空港を後にした・・・。





Fin






☆☆☆



久し振りに、4人の物語
(正確には、風雅と聖良の物語)を
書いてみました。

長くてスイマセン。

かなり、無理やり感が
ある気はしますが、
やっぱりこの二人が、
くっつくのが正当かなと思い
後は、ヒカルと舞ですが
舞の言う通り、この二人は???

それに、ヒカルには
日本での生活の中で
新たな出会いが、あるんですが
こちらは、まだまだ話がまとまらず
ダラダラ書いてる感じです。

まぁいずれ、またUP出来たらなと思います。


<参考曲>


THE BEST -DELUXE EDITION [ AI ]
THE BEST -DELUXE EDITION [ AI ]

「Story」
「OneLove」
「MyFriend」