ちょっと、この辺で
また昔に戻します。



やっぱり
「のだめカンタービレ」の
影の主役
ミルヒーこと
シュトレーゼマンの最後は
避けて通れないかな・・・・と思い
第1楽章では
あえて描かなかった
シュトレーゼマンの最後の姿・・・・
すいません、勝手に想像して
書かせてもらいました。

本当は、追悼コンサートは
別に書こうと思いましたが
こんな内容で行われましたよ
という感じで最後に
付け足しました。








☆☆☆

  
ヒカルが、コンセルヴァトワールに
入学して、2年ほど経った頃。



ある日の朝・・・・・。


真一の携帯が鳴った・・・・。


「アロ~・・・・え?
・・・・わかった・・・すぐ行く。」


目の前で、のんびり朝食を
食べているのだめ。


「?どうしたんですか?」


「マエストロが・・・・
シュトレーゼマンが、
危篤だって・・・・」


「え?」


口に入れようとした
パンを落とすのだめ。


「ともかく、着替えて」



「・・・わかりました・・・
子供たちは、どうします?」



「美音は、母さんに頼むとして
・・・ヒカルは・・・」



ちょうど、学校に行くため
2階から降りてきたヒカル。



「どうしたの?」


「ヒカル、ちょっと・・・・」



マエストロが危篤だという事
万が一の事も
あるという事を伝え
一緒に来るかどうか
ヒカルに問う真一。



「・・・・・うん、ボク行くよ
だってマエストロには
可愛がってもらったし
音楽の事も
いっぱい教えてもらったし
お礼が言いたい」


「そうだな・・・・父さんも
まだまだ言い足りないことが
いっぱいある」



のだめと共に3人で
シュトレーゼマンの所へ向かった。













パリのシュトレーゼマンの別荘。



ベットに、力なく横たわる
シュトレーゼマン。

そばには、医師と看護師
そして、やつれ切ったエリーゼ。



オリバーに案内され
真一たちがやってくる・・・



「ミルヒ~・・・・」



シュトレーゼマンは
のだめの呼ぶ声に反応し
うっすら目を開ける。



「(消えそうな声で)・・・・
のだめちゃ~ん
元気ですか~ゴホッゴホッ」



「マエストロ
無理しないでください」



「ハァハァ・・・チア~キ、
少しは・・・・指揮・・・
うまくなりましたか・・・」



「・・・・・・・」



何も言い返せない真一。



「ヒカル君
よく来てくれましたね・・・
ゴホッゴホッ」



ヒカルは
やつれ切ったマエストロの姿を見て
泣きそうな顔で、無言で近づく。



「こんな姿で
ビックリしたでしょ・・・・
・・・・ヒカル君
ますますチアキに
似てきました・・・

チア~キ
オネガイ・・・あります・・・・」


「何ですか」


そう言うのが
精いっぱいの真一。



「・・・ヒカル君の・・・
ヒカル君のヴァイオリン・・・
聴きたいのですが・・・・
ゴホッゴホッ」


「え?でも、最近ヒカルは・・・」


「パパ・・・・・ボク弾くよ・・・
でも、マエストロ・・
ボク最近、学校以外で
ヴァイオリン全然弾いてないんだ・・・
だから、昔よりヘタに
なってるかもしれないよ・・・
それでも、いい?」



「ゴホッゴホッ・・・(頷きながら)
バッハなんか、どうですか・・・・」



「うん・・・・わかった・・・」



ヒカルはオリバーから
ヴァイオリンを受け取り
軽くチューニングをし
目を閉じた。

しばらくして
天井を見上げ、大きく息を吸い
ヴァイオリンを奏で始めた。


 


J.S.バッハ: 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番:アダージョ




シュトレーゼマンは
目を閉じ
ヴァイオリンの音色に聞き入る。

のだめも
シュトレーゼマンのそばに来て
エリーゼと共に手を握る。

真一は、ヒカルの横で、目を閉じる。


~♬~♬~♪~♬


しばらくすると
シュトレーゼマンの体につけられた
機械のアラームが鳴りだす。


「フランツ!」
「ミルヒ~!!」



ヒカルはびっくりして
演奏の手を止める。



真一が、震える声で


「ヒカル、続けろ
最後まで弾くんだ!」


「でも・・・・(涙を浮かべながら)」



シュトレーゼマンの方を見ると
うっすら目を開けていて
頷いている・・・。



涙をぬぐい、また弾き始める。



医師は、シュトレーゼマンの希望で
アラームの電源を切る。



そして・・・・・ヒカルが最後まで
弾き終わると同時に
シュトレーゼマンは
小さな声で

「Bravo・・・」

と、一言呟くと
大きく息を吸い込み
そのまま目を閉じた。



「フランツ!」
「ミルヒ~!」
「マエストロ!」







しばらくして
医師が、脈と瞳孔の確認し
時計を見て


「10時31分、ご臨終です」


「フランツ!フランツ!」



エリーゼは
シュトレーゼマンに抱きつき
今までにないほど
取り乱し泣き叫んだ。

のだめも、ベッドの横で
声を押し殺して泣いている。


真一は涙を堪え
ヒカルに寄り添い


「よくがんばったな・・・」


ヒカルは、堪えきれず
真一にすがりつき
声を出して泣いた。



フランツ・フォン・シュトレーゼマン 永眠。 




最後は、エリーゼ
唯一の弟子、千秋真一と
その家族に見守れながら
穏やかに旅立った・・・・。











数時間後

ゲストルームで
待機している真一たち。
ヒカルは、疲れたのか
泣きはらした顔で
ソファで寝ている。



エリーゼが、やってきた。



「エリーゼ、大丈夫か?」



「ごめんなさい、取り乱して
大丈夫よ、だいぶ落ち着いたから」


言葉とは、裏腹に目が
真っ赤なエリーゼ。


「ヒカル、寝ちゃったのね
あなたたちは大丈夫?」


「あぁ、こっちも
だいぶ落ち着いたよ・・・」


「今日はありがとう
あなたちがいてくれて
本当によかったわ・・・・」


「これからは?」


「そうね、そろそろ
マスコミに、フランツが
亡くなった情報が流れるわ
多分、あなたたちにも
取材が殺到するかもしれないから
しばらくここにいて
対応した方が
いいかもしれないわね・・・・
オリバー?」


と、いつものように
さっそうと
どこかへ行ってしまった。





「意外と冷静だな・・・」



「違いますよ・・・・
ああでもしてなきゃ
多分、耐えられないんですよ・・・
でも、あんまり無理して
倒れなきゃいいですけど・・・」


「そうだな・・・・
あんなにやつれてるし・・・・」









そして、世界中のマスコミに一斉に
シュトレーゼマンの訃報が流れ
エリーゼと共に、真一とのだめは
対応に必死で
しばらくは悲しむ間もなかった。











そして、翌年
シュトレーゼマンの遺言により
日本での追悼コンサートが
行われた。


オーケストラは
R☆Sオーケストラ


もう何年も活動していなかったが
今回、マエストロを偲んで
懐かしい面々が集結した。


ヴァイオリン:KIYORA
オーボエ:黒木泰則
ティンパニー:奥山真澄
フルート:鈴木萌 クラリネット:鈴木薫
チェロ:菊池亨
ヴァイオリン:高橋紀之・木村智仁
フルート:相沢舞子

演出家:峰龍太郎



指揮者:千秋真一

ピアノ:NODAME



プログラム:

「ショパン:別れの曲」
ピアノNODAME

「ラフマニノフピアノ協奏曲第2番 第1楽章」
指揮:千秋真一
ピアノ:NODAME
R☆Sオーケストラ

「ブラームス 交響曲第1番 第1楽章」
指揮:千秋真一
R☆Sオーケストラ












~楽屋~


元桃ケ丘音大理事長 
桃平美奈子と
久しぶりの再会をした真一。


「理事長、お久しぶりです」


「千秋君、もう理事長は
やめて、とっくに孫の代に
譲ってるんだから・・・

・・・・・フランツの最後に
立ち会ってくれたとか・・・」


「あっはい・・・
穏やかな最後でした・・・・」


「あれだけ
好き勝手生きてきた人ですもの
悔いはないでしょうよ」


「そうですね・・・・」


「今日は、楽しみにしてるわ
一緒にフランツを弔いましょう・・・」



「はい。」









☆☆☆


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